郷土愛する写真家の思い
次世代に受け継ぐ企画展
――柏市の歴史写真展「つながる、柏の記憶。」が2月13日、柏市文化・交流複合施設「パレット柏・市民ギャラリー」で始まった。地元の写真家、故森かずお(本名・一男)さんが、中学生の頃から撮り続けた郷土の風景65点が特大パネルで展示された。

■写真上:初日から大勢の入場者が見学した写真展会場
旧沼南町出身の森さんは中学3年の時、コンパクトカメラで地元の茅葺民家を撮り始めた。「この町が好きだ。日記のように写真を撮っているが、開発が速すぎて追いつけない。被写体は地元にある」が口癖だったそうだ。
デジタルカメラが主流になってもフィルムカメラにこだわり、毎日のように手賀沼に通ったり、毎年5月、四国のお遍路さんのように札所を回る「送り大師」(東葛・印旛大師講)に同行したり。2019(令和元)年11月、68歳で亡くなるまで撮影を続けた。

■写真左:柏写真展のポスター
■写真右:5年前、森の美術館で開かれた写真展ポスターの故森かずおさん
写真展は同行取材した「送り大師」、茅葺民家中心の「受け継がれる文化財」、漁業・鳥猟や四季が移ろう「手賀沼」、農作業を記録した「田に刻まれた歴史」の4部構成。
昭和後期から平成にかけて撮影されたモノクロ、カラー作品が、A1サイズのパネルに1~3枚セットされた。ファインダーを通して描かれた田園や手賀沼、そしてそこに生きる老若男女の姿。作品一つひとつに森さんの地元愛が伝わってくるようだ。
【送り大師の一部】

■写真上:高柳の長屋門前を巡行

■写真左:札所のお寺(左・柏長全寺、右・逆井観音寺)
■写真右:休憩

■写真左:つつじの咲く参道を進む
■写真中:子供のお参り
■写真右:送り大師の装束
【受け継がれる文化財の一部】

■写真左:冬の民家
■写真右:民家の庭の松

■写真左:民家の縁側
■写真中:上棟式(上) 屋根の葺き替え(下)
■写真右:民家の門
森さんの死後、膨大な数のプリント、ネガ、未現像フィルムが自宅に残された。生前、親しい付き合いがあった流山市にある「森の美術館」(森忠行館長)がトラック1台分の段ボール30箱の写真資料を預かった。
整理、分類して、2021(令和3)年4、5月、「森の美術館」で追悼展「森かずお写真展~ありのままの一瞬~」を開催した。終了後、同館から柏市に遺品約800点の寄贈があった。
柏市教委は市民ボランティアとともに整理と保存に取り組んだ。その結果、「森かずお氏が郷土にそそいだ深い思いは、次世代に受け継ぎたい柏の原風景」と位置づけ、写真展を企画した。
【手賀沼の一部】

■写真左:漁網
■写真右:小舟での漁

■写真左:漁網とカワウ
■写真右:手賀沼夕景

■写真左:手賀沼の漁具も展示された
■写真右:水の館と遊覧船
【田に刻まれた歴史の一部】

■写真左:水田
■写真右:田植えの準備

■写真左:稲刈り
■写真右:稲刈り

■写真左:縁側でのひととき
■写真右:田植機の練習
初日から大勢の見学者が訪れた会場に貼り出された挨拶文に次のようにあった。
「思い出が蘇る方も、初めてみる方も、それぞれの心に『柏を思う気持ち』が静かに広がるひとときになれば幸いです」
(文・写真 佐々木和彦)

