取材「人と街の記憶」

11月

     11月

2025 KURIKURI ART Exhibition Vol.7 「シクラメン展」

開 催 2025年11月26日(水)~同30日(日)
時 間 11時00分~17時(初日は13時から、最終日は16時まで)
場 所 Huckleberry Books 2Fギャラリー
住 所 柏市柏3-8-3
電話・FAX 04-7100-8946
主 催 KURIKURI ART
入 場 無料
H P http://www.kurikuriart.com




「2025 作家の証展」

開 催 2025年11月18日(火)~同24日(月祝)
時 間 11時~18時(最終日は16時まで)
場 所 千葉県福祉ふれあいプラザ 第1、2ギャラリー
    (JR我孫子駅南口 けやきプラザ2階)
    我孫子市本町3-1-2
主 催 2025作家の証展事務局
入 場 料 無料



「柏に美術館を創りましょう」講演会
わたしたちのミュージアム
柏の美術館

開 催 2025年11月15日(土)
時 間 12時開場、13時30分開始
場 所 柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」講堂
    柏市柏5-8-12
主 催 柏の文化を育てる会
後 援 柏市教育委員会、柏市観光協会、柏商工会議所
協 賛 (公財)摘水軒記念文化振興財団、柏ライオンズクラブ、柏さくらライオンズクラブ、柏ロータリークラブ、柏南ロータリークラブ、朝日れすか、たけしま出版、大洞院
入 場 無料



猪又かじ子写真展
旧吉田家住宅歴史公園とその周辺

開 催 2025年10月19日(日)~同12月14日(日)
    9時30分~16時30分
場 所 旧吉田家住宅歴史公園・新倉ギャラリー
    柏市花野井974-1
    ☏04-7135-7007
休園日 毎週月曜(祝日の場合は翌日)
主 催 柏市みどりの基金
入園料 大人300円、高齢者200円。18歳未満無料
(母屋改修中の11月28日まで無料)



第15回小さな美術館
「大事なことは見えないんだよ。
しっかりと心で感じなければ」

開 催 2025年11月1日(土)~同6日(木)
時 間 10時~17時
場 所 小さな美術館
住 所 流山市駒木127-27
電 話 090-4845-0919
主 催 さいとう・ひろこ
後 援 流山市教育委員会
入 場 無料




AIに負けない創造力を
美術教室の師弟が作品展★★

――柏市のアトリエで絵を描いたり、物を作ったりの美術教室「KURIKURI ART」(くりくりアート)を主宰する画家神田みきさんと生徒の第7回シクラメン展が11月26日から同市内の児童書専門店「Huckleberry Books」(ハックルべリーブックス)2階ギャラリーで開かれた。

 

 

写真上:「KURIKURI ART」を主宰する神田みきさん

 

 

 

美術教室に通う年長児から小学生、成人10人がシクラメンを始め、風景、静物、模写など思い思いの作品を各人複数の計36点出品した。

 

 

写真上:「シクラメン展」案内はがきの表裏

 

 

 

指導者の神田さんは「生命の礎」とする「AQUA」(水)や黄色い花「MIMOSA」など油彩、水彩の16点を展示した。

 

 

写真上:会場に掲げられたシンボルデザイン

 

 

 

生徒の作品は同じ赤いシクラメンでも花びらが力強かったり、繊細だったり、背景の色合いも違う。風景や静物画の中には心に浮かんだようなイメージ的な作風もあった。

 

 

神田さんは「特に野球やバスケット、水泳などスポーツをやっている生徒は集中力、瞬発力に加えて直感力が鋭い」と評した。

 

 

武蔵野美術大学出身の神田さんは、デザイナーとして勤めた出版社や大手百貨店などを退職後、家庭と育児に専念した。ひと段落した後の3年間、美術講座で油絵、デッサンなどを学んだ。

 

 

写真左:「AQUA Turquoise」(神田みき)
写真右:「MIMOSA」(神田みき)

 

 

 

週4回開く美術教室に現在、子どもから大人の男女20人が通っている。教室の名は「Creative」(創造的)をヒントにした。

 

 

 

写真左:「シクラメン」(年長・大類ここな)
写真中:「シクラメン」(小学2年・長谷川曜)
写真右:「シクラメン」(小学2年・小島美結)

 

 

 

写真左:「お月様」(小学1年・柳下かなさ)
写真右:「ネモフィラ」(阿部健亮)

 

 

 

写真左:「富士山」(小学4年・加藤鉄将)
写真右:「版画」(小学4年、柳下ゆり)

 

 

 

写真上:「あこがれの街」(小学5年・藤原優花)

 

 

 

写真左:「春」(小学4年・岡あかり)
写真右:「バスケットボールパラダイス」(小学6年、落合向日葵)

 

 

 

「自分で生きる力を身につけることが大事だと思っている。AI(人工知能)の奴隷にならないよう、創造力を自らアウトプットできるようにしないと」と神田さん。

 

 

神田さんの夫や2人の息子も同じ武蔵野美大卒業の同窓家族。代表作「AQUA」が「サロン・ドトーヌ展」(フランス)、「サロン・ド・アール・ジャポネ」(フランス)で入賞している。デジタル展示の「M.A.D.Sアートギャラリー」(イタリア)など海外出品に力を入れている。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

タイトルに込める想い
10人の「作家の証」展

――柏と周辺に住む画家、彫刻家ら10人による「2025 作家の証」展が、11月18日からJR我孫子駅南口の千葉県福祉ふれあいプラザ第1、2ギャラリーで開かれた。

 

 

写真上:出品者の勝田裕司さん、中津川督章さん、アートディレクター綾康文さん、天野田鶴子さん(左から)

 

 

 

日頃、各々が独自の活動をしているが、毎年1回、作品を持ち寄って開くグループ展。10人の志向、作風も様々だけに個性的な作品が並んだ。

 

 

造形写真の工藤俊文さんの「夏のキビ畑」は人影のようだ。自身の解説によると「影法師は幻影ではなく、太陽の光に照らし出された私の体内に居る住人の姿」という。太陽を背にキビ畑に映った自身の細長い影を撮影した作品のようだ。

 

 

写真上:「作家の証」展案内はがきの表裏

 

 

 

彫刻家の中津川督章さんは「音楽家は音を楽しむ作家と書く。私は形を楽しんできた造形作家。一般的な『彫刻家』より『形楽家』の方が正確と思うようになった」との気持ちを明かす。

 

 

「空の方向」「枕流」「極小曲面に向う造型」の3タイトルで、写真でいう組み写真のように造形作品を組み合わせて出品した。

 

 

証展を主導するアートディレクター綾康文さんは「中央画壇に行く作家も多いが、無名でも地元で活動し、質のいい作品を発表する場をつくりたかった」として、2014(平成26)年からグループ展を始めた。

 

 

写真上:「マンボウは飛んでいく(富士山と)」(きつないえりこ)

 

 

 

植物の「ダズラ」など2点を出品している天野田鶴子さんは草創期からのメンバー。「プロでもアマでも一生懸命に打ち込み、描写している方に参加してもらっている」と補足した。

 

 

 

写真左:「ダズラ」(天野田鶴子)
写真中:「落花流水」(勝田裕司)
写真右:「No.1064」(橋谷勇慈)

 

 

 

写真左:「朧(おぼろ)Ⅰ」(内藤範子)
写真右:「沖縄の雲」(喜屋武貞男)

 

 

 

写真左:「Childhood」(ダルシャナ・プラサド)
写真右:「空の方向」「枕流」「極小曲面に向かう造型」作品群(中津川督章)

 

 

 

写真左:「チェルノゼム」(マエノマサキ)
写真中:「夏のキビ畑」(工藤俊文)
写真右: 「不条理の島から宙」Ⅳ(故・新垣安雄)

 

 

 

「作家の証」のタイトルに綾さんの想いがこもる。

 

 

「自分の作品はうまい、ということはない。『去年よりいいじゃない』といわれるような物を作らなければ進化はない。作り続けることが『作家の証明』なんだと思う」

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

美術館調査を中間報告
「柏に美術館を」第2回講演会

――「柏の文化を育てる会」(三坂俊明代表)の「柏に美術館を創りましょう」講演会が11月15日、柏市教育福祉会館「ラコルタ柏」であり、「育てる会」独自調査による各地美術館調査の中間報告があった。作成した「まちなかアートマップ」や柏市の「清水メガネ」(店名:シミズメガネ)が開設するweb美術館「みんなのミュージアム」も紹介された。

 

 

写真上:web美術館「みんなのミュージアム」を紹介する「清水メガネ」の清水友里花さん

 

 

 

美術館調査は関東から東北、北海道の14都道県庁所在地を含む、柏と同じ中核市の21市が対象。「育てる会」の三坂代表らメンバーが現地に行ったり、ネットで検索したりして調べた。

 

 

「育てる会」のメンバーで建築士、鈴木裕子さんの報告によると、調べた全ての都道県庁所在地と、21中核市のうち、建設中も含めて18市に公立美術館がある。

 

 

写真左:講演会の開催趣旨を説明する「柏の文化を育てる会」の三坂俊明代表
写真右:「柏に美術館を創りましょう」講演会のチラシ

 

 

 

山形美術館は民間企業に県と山形市が協力する財団法人が運営している、東京都新宿区にある市民立ミュージアム「東京おもちゃ美術館」は旧四谷第四小学校の廃校舎利用――といった施設もあった。

 

 

鈴木さんは「調査を通じて国の補助金などを積極的に活用し、力を合わせて小さくてもいいから柏に美術館を立ち上げ、育てていけばいつかは立派なものが出来る、と思うようになった」と述べた。

 

 

写真上:A3判1枚にまとめられた各地の美術館情報

 

 

 

「まちなかアートマップ」はA3判四つ折りで「柏の葉公園周辺」「柏駅周辺と広域」の2エリア。いずれも「かしわの文化・芸術をみつけよう」のサブタイトルがついている。

 

 

「育てる会」のメンバーが現地を歩いて調査し、街角や公共施設などで展示されている彫塑やモニュメント、絵画、デザインマンホール蓋などを収録した。

 

 

写真上:「柏の文化を育てる会」が作成した2エリアの「まちなかアートマップ」

 

 

 

「柏の葉公園周辺」で25点、「柏駅周辺と広域」で22点の写真、タイトル、作者を掲載し、所在地をイラスト風の見取り図に落とし込んだ。今後、手賀沼周辺なども散策し、調査する方針だ。

 

 

これら公共の空間や施設に展示される芸術作品は「パブリックアート」といわれる。柏市あけぼの山農業公園にある「あけぼの窯」で、地元の土などを使って「布施焼」に取り組む芸術・陶芸家の寺前好人さんが国内外の「パブリックアート」について講演した。

 

 

写真左:web美術館「みんなのミュージアム」館長の清水健一・清水メガネ会長
写真中:「パブリックアート」を紹介した芸術・陶芸家の寺前好人さん
写真右: 各地の美術館調査の中間報告をした「柏の文化を育てる会」のメンバー鈴木裕子さん

 

 

寺前さんは、放置されて景観にそぐわないものや風紀上の問題で撤去された物もある、として「作家は、街の人はどんなものを求めているか、どんなものを作ったらいいかを考えなければならない」と話した。

 

 

web美術館「みんなのミュージアム」はメガネに携わる企業として「見る楽しさ」を共有したい、との思いから2015年1月に開設された。

 

 

館長の清水健一・清水メガネ会長は「仮想空間ではあるが『生活はアート』をコンセプトに柏を中心とした東葛の作家作品や展覧会、美術展などを取材して掲載している」と説明した。

 

 

写真左:前回講演会講師の佐々木秀彦さん
写真右:受付を担当した「柏の文化を育てる会」の版画家大野隆司さん(中央)、「たけしま出版」の竹島いわおさん(左)

 

 

 

同社の清水友里花さんが「みんなのミュージアム」に掲載している作家20人の「作品展」、インタビュー記事の「作者は語る」、松本節太郎の野焼き土人形や和紙張り子の素朴な「下総玩具」、取材した地域の絵画展や写真展、季節のスケッチ写真など、「人と街の記憶」の各コーナーを紹介した。

 

 

参加していた前回講演会の講師で江戸東京博物館、東京都美術館などの学芸員を務めた東京都歴史文化財団・アーツカウンシル東京企画課長の佐々木秀彦さんは「美術館はリアル、バーチャルの役割分担も大事な視点だと思う。文化資源をいかにして支援していくか」との見方を示した。

 

 

写真上:模造紙に印刷された各地の美術館調査や「まちなかアートマップ」に見入る講演会参加者

 

 

会場からほかの文化団体との連携について問われ、三坂代表は「柏を文化・芸術の創造に満ちた魅力ある街にするため、いろんな活動があってもよいと思う。美術館創りはその第一歩にしたい」と語った。

 

 

「育てる会」は昨年10月20日、市内の経済人や作家、書家、文化人ら22人の賛同者が集まってキックオフミーティングを開いた。4月19日に佐々木さんを講師にした講演会を開催し、これまでに400人近い賛同者が集まっている。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

四季の匂いに誘われ
旧吉田家と周辺の風景

――柏市の写真家、猪又かじ子さんの写真展「旧吉田家住宅歴史公園とその周辺」が、同市花野井の旧吉田家住宅歴史公園で開かれている。築200年といわれる旧吉田家住宅と周辺の利根川原、県立柏の葉公園などの四季が紹介されている。

 

 

写真上:旧吉田家住宅歴史公園の作品を説明する猪又かじ子さん

 

 

 

旧吉田家母屋とは別棟の新倉が会場。溝を入れた柱に厚板を挟み込む「板倉構法」で1833(天保4)年に造られた。国の重要文化財に指定されている。

 

 

写真上:写真展のはがきとチラシ

 

 

 

文化財の壁を傷つけないよう、吊るした鉄板に和紙を貼り、裏に磁石をつけた写真パネルをくっつけて展示している。猪又さんが指導する地元の写真グループ「柏写楽会」の定期的な作品展会場の縁もあって、猪又さんの個展が実現した。

 

 

旧吉田家を中心としたものと、ライフワークのように取り組む周辺の利根河原、花野井などの風景を撮影した2部構成。

 

 

炭火が燃える母屋の囲炉裏、園庭で咲く白、ピンクの梅や桜、真っ赤に染まったモミジ、石畳の庭にうっすら積もった雪……。旧吉田家を包む季節の移ろいがA3判の12枚に収められている。

 

【旧吉田家住宅歴史公園の一部作品】

 

 

写真左:「秋深く」

写真右:「桜日和」

 


 

写真左:「囲炉裏端」
写真右:「初夏の庭先」

 

 

 

「静寂の刻(とき)」として2冊の写真集にした利根河原をはじめ、花野井地区や県立柏の葉公園、あけぼの山農業公園など地元愛があふれる作品36点を会期中18点ずつ入れ替えて展示する。

 

【周辺自然の一部作品】

 

 

写真左:「雲間に昇る」(柏市・布施下)
写真右:「晩秋の公園」(柏市・柏の葉公園)

 

 

 

写真左:「空流れて」(茨城県取手市・利根河原)
写真右:「早春の朝」(柏市・利根河原)

 

 

 

写真左:「日の出前」(柏市・花野井)
写真右:「幻日の朝」(柏市・利根川堤)

 

 

 

写真左:「春の息吹」(茨城県守谷市)
写真右:「水辺の輝き」(柏市・柏ビレジ水辺公園)

 

 

 

写真左:「目覚めの刻」(柏市・あけぼの山農業公園)
写真右:「おはよう」(柏市・大堀川)

 

 

 

「風の言葉、大地のかおり」と題する猪又さんの「写の心」が掲示された。「感動のすべては、自然からの贈りもの。自然への憧れは郷愁であり、かけがえのない心のふるさとです」

 

 

会社勤めをしていた40代の頃、趣味として何か残せるものを、と思い立ち、職場仲間の影響もあってカメラを手にした。

 

 

「カメラのことはよくわからなかったけど、好きなものを撮ってきたから続けられたと思う。よく行く利根川原の日出が好き。特に冬の早朝のピーンとしたにおいがいい」

 

 

これまで利根河原と「ふるさと大使」を務める福島県只見町が舞台の「只見憧憬」を加えた「静寂の刻」シリーズ3冊、「花野井の四季」「花野井の里」などの写真集3冊を出した。

 

 

写真上:猪又さんの写真集や写真が掲載された書籍

 

 

 

会場には写真集6冊とともに、猪又さんの作品が掲載されたカメラ雑誌などもずらり展示されている。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

年数日の「美術館」
今年もマイホームで開館

――流山市駒木の齊藤公子さん(70)が、2階建て住宅で自身の手作り品や知人の絵画、陶芸などを展示する「小さな美術館」を11月1日に開館した。毎年1回、マイホーム全室をギャラリーにし、数日だけ開館する私設美術館だ。

 

 

写真左:作品を紹介する齊藤公子さん
写真右:美術館開館案内のはがき

 

 


庭先のコスモスが出迎える玄関に入ると、すぐ左の壁に看板代わりの作品が掛かっていた。ベレー帽をかぶり、絵筆を持った折り紙の絵描きが黒板で説明する。「第15回小さな美術館 大事な事は、見えないんだよ。しっかりと心で感じなければ」

 

 

「これは今年のテーマ。世の中の合理化が進んで想像力がなくなっている。例えば植物は、土の中で見えない根がしっかり張っているから生長して花が咲き、実がなることをね」と齊藤さん。文字通り草の根的な美術館の「心」を語る。

 

 

写真左:開館中、入り口ドアは開けっぱなし
写真右:玄関の壁に飾られた「小さな美術館」のタイトル入り作品

 

 

 

作品は4LDKの居室だけでなく、廊下の壁や階段の踊り場、出窓、押し入れにも飾られている。開館中、齊藤さんは2階の折り紙作品ルームに布団を敷いて寝るそうだ。

 

 

今年は齊藤さんの「古希」と重なった。折り紙作品の集大成と自然の小枝、木の実など身近にあるものを使った作品をそろえたという。参加した知人の作品も展示され、初日から大勢の見学者が訪れた。

 

 

写真上:出窓に小枝や木の実などを使った手作り品が並んだ

 

 

 

「小さな美術館」が始まったのは2007(平成19)年11月。きっかけは前年に夫の榮一さん(当時55)が病死したことだった。

 

 

写真上:押し入れの棚いっぱいに展示された亡き夫・榮一さんの陶芸作品

 


 

榮一さんは闘病生活を送りながらリハビリを兼ねて陶芸に取り組んだ。茶碗や皿、カップなど数多くの作品を遺している。創作活動に取り組み、作品づくりをしている知人も少なくない。

 

 

柏市篠籠田の画家藤澤孔格(よしひろ)さん(74)もその一人。齊藤さんの人物画など3点を出品し、スタッフとして来場者の案内役も務めた。「齊藤さんは企画力があって、行動力もあり、人を大切にする方。子どもから高齢者まで各分野の男女から親しまれ、美術館を通じた繋がりの輪が広がっている」

 

 

写真左:19歳の齊藤さん(鉛筆画)
写真右:56歳の齊藤さん(油絵)(いずれも写真を参考にした画家藤澤孔格さん作)

 

 

 

榮一さんの遺作と世話になっている知人の作品を発表する場としてマイホームの美術館化を思い立った。毎年、春秋のいずれかの数日間だけ開館する。節目となった10回目の2016(平成28)年でいったん閉館した。

 

 

平成から令和に変わったのを機に2019年に再開したものの、翌年からのコロナ禍で閉館を余儀なくされた。知人らから「いつ再開するの」との声に押されるように、2022(令和4)年から再び始めた。

 

 

【自然木・木の実作品の1部】

 

 

写真左:ピクニックのカップル?
写真右:馬車に乗って農作業に向かう様子

 

 

 

写真左:ギンナンの実の殻に古布で作った人形
写真右:お茶の実を使った「孫を子守するお爺ちゃん」

 

 

 

写真左:竹細工の「かぐや姫」
写真右:「一寸法師」

 

 

【思い出の光景】

 

 

写真左:折り紙に貼り絵、クレヨン画で描いた小学2年の時の教室
写真右:折り紙、貼り紙に粘土、小枝でかまどを再現した「昭和の台所」

 

 

 

元銀行員。仕事で訪れたお年寄り宅で福祉問題に触れ、退職後、介護福祉士やホームヘルパーなどの資格を取った。生活支援をしてきた高齢者や障害者らの作品も展示してきた。

 

 

齊藤さんは「来て下さった方に気に入った物を探してもらうため、毎年、展示物を変え、心を込めて作っています。皆さんの笑顔が見たいので、私の想像力が働く限りは続けていきたい」という。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)