こだわり、メッセージ
第7回柏市美術会展
――柏在住、在勤、出身者らの会員組織「柏市美術会」(根本忠緒会長、会員22人)の「第7回柏市美術会展」が7月1日から柏市文化・交流複合施設「パレット柏・柏市民ギャラリー」でスタートした。
■写真上:「WORK-春―」(根本忠緒)などを鑑賞する入場者
油彩、アクリル、水彩、染色という多彩な画材、画法で、独自の視点でとらえた自然風景、街角、人物、遺跡、心象風景など多彩なテーマとなっている。
「100号以上という決まりはないのだが、何となく無言の申し合わせのようで……」(会員の一人)。出品された28作品のうち、今年も半数以上が100号を超える大作だ。
■写真上:「Bouquet」(左)、「♬」(さとうけい子)
■写真上:「Water garden-景」(左)、「Water garden-射」(関口聖子)
■写真左:「杜の声」(大橋けいこ)
■写真右:「山麓」(海老原利雄)
■写真左:「クリスティアーナ」(村山和子)
■写真右:「蒸留装置のある実験室」(有賀敏明)
松谷登さんは100号「月」と10号「早朝の村」の2点を出品した。渡航先の欧州の心象風景が多かったが、日本の農村部も描くようになった。「観た瞬間に私の作品とわかってもらえるのもいいが、『こんな作品もあるんですか?』って言われるのも悪くない」という。
■写真左:「月」(松谷登)
■写真右:柏市美術会展のポスター
昨年から参加の有井はるみさんは、白い絹地を筆や刷毛で塗って染め、絵に仕上げる染色画だ。「染色は工芸なので」として一度、入会を断られたが、有井さんの個展を観た会員から「染色とはいえ、立派な絵画」と称賛され、入会した。
130号の「生命(いのち)」と題した作品は、薄暗い水辺で朽ちて残った木株、倒木の間から新緑の若木が伸びる。有井さんは、何度も生死を繰り返し、新しい命に生まれ変わる「輪廻転生」を描きたかったのだという。
■写真左:「生命(いのち)」(有井はるみ)
■写真右:「NO PASARAN!」(中野耕司)
有井さんの作品の隣に、同じく昨年から参加の中野耕司さんの130号「NO PASARAN!」が飾られた。スペイン語で「奴らを通すな」の意味だそうで、スペイン内戦の反ファシズム運動のスローガンだったとか。
米軍のオスプレイが飛ぶ空を背に、戦争放棄の憲法という意味の英文と「9」が入った赤い本を抱えた赤い帽子の男性、赤いドレスの女性が描かれている。「赤は好きな色。反戦デモには今でも参加する」という中野さんの想いが伝わってくる。
「この二人がしっかりした仕事をしてくれて、会員の個性が発揮された会場になった」と根本会長。
■写真左:「手賀沼の送電塔」(井上武)
■写真右:「思い出の町思い出の木」(伊藤一子)
■写真左:「水辺の街」(細野茂紀)
■写真右:「野晒し」(阿部悟)
■写真左:「文書の成立・違法判決」(黒田邦裕)
■写真右:「暮光」(大浦秀尚)
■写真左:「刻の行方」(海東照子)
■写真右:「見えない時間」(内田正子)
■写真左:「遺跡」(早川清美)
■写真右:「ひとり旅・西の岬」(香島ひで子)
■写真左:「組曲」(石﨑琇子)
■写真右:「落日の詩」(伊藤進)
会場をぐるりと見回した根本会長。「いろんな方向性があるとは思うが、この雰囲気を大事にして、会を運営していきたい」と話した。
(文・写真 佐々木和彦)