取材「人と街の記憶」

10月

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映画「それでも、夢を。」

制 作 2024年8月17(土)~9月11日(水)
ロケ地 ファミリーレストラン「ステラ」跡地、五本松公園、川村学園女子大学、手賀沼公園、手賀沼親水公園、志賀直哉邸跡、中央学院大学
上映会 10月5日(土)=けやきプラザホール、同19日(土)、同20日(日)=川村学園女子大学、同26日(土)、同27日(日)=中央学院大学、11月23日(土祝)、同24日(日)=時間、場所未定
主 催 Unitry
後 援 我孫子市、我孫子市教育委員会
協 力 川村学園女子大学、中央学院大学、川村学園女子大学学友会、中央学院大学地域連携カイギ部、NPO法人手賀沼フィルムコミッション、あびこ市民活動ステーション
入 場 無料


第14回画楽人展

開 催 2024年10月22日(火)~同26日(土)
場 所 興風会館・地下ギャラリー
    野田市野田250
時 間 9時~16時30分
(初日は13時から、最終日は16時まで)
主 催 画楽人
入 場 無料


我孫子の名所でロケ
大学生ら自作自演の映画

――創立100周年を迎えた我孫子市の川村学園女子大学で10月19、20両日、学園祭「第35回鶴雅祭~100花繚乱」が開かれた。にぎやかなキャンパスにある14号館2階大教室で、我孫子を舞台に地元大学生ら自作自演の映画「それでも、夢を。」が上映された。

 

 

写真上:我孫子舞台の映画「それでも、夢を。」の上映会=10月19日、川村学園女子大学(左) 映画製作プロジェクトのポスター(右)

 

 

 

監督の今井桜子さん(川村学園大学4年)、主演の本田琉一郎さん(中央学院大学1年)らスタッフが登壇して舞台あいさつした。我孫子生まれ、我孫子育ちというスタッフの一人、佐藤ゆうりさん(同3年)の「作品を通して少しでも我孫子の魅力が伝わればいいですね」が印象に残った。

 

 

写真上:上映会場で舞台あいさつする今井桜子監督(左)や出演者、スタッフ(10月19日、川村学園女子大学)

 

 

 

川村学園女子大学や中央学院大学、中央学院高校を始め、我孫子出身の大学生、高校生ら40人のチーム「Unitry」(ユナイトリー)が製作した。名づけ親でもある佐藤さんによると、団結や協力を意味する「united」(ユナイテッド)と試みる、努力するの「try」(トライ)をかけた造語だそうだ。

 

 

就活面談シートを出せず、進路に悩む中央学院大学3年中川志信(本田さん)、脚本家を夢見る中央学院高校2年天北望夢(金潤柱さん=中央学院高校3年)、中川の憧れの先輩で川村学園女子大学4年加沼天音(重野羽美さん=川村学院女子大学3年)が登場人物。

 

 

クランクインは8月17日、同市布佐のファミリーレストラン「ステラ」跡地。100以上の映画、ドラマにロケ地を提供しているNPO法人「手賀沼フィルムコミッション」が世話した。

 

 

写真上:ファミリーレストラン「ステラ」跡地でクランクイン=8月17日、我孫子市布佐

 

 

 

高校でアシスタントティーチャーをする天音の紹介で知り合った望夢と志信がある日、「ステラ」で偶然出会うシーンの撮影だ。見守っていた同コミッションの甲斐俊光専務理事は「地元の学生たちが地元で映画撮ろうなんて初めてだ。応援したい」という。

 

 

 

写真上:撮ったばかりの映像を確認する今井監督(右)ら撮影スタッフ=8月17日、「ステラ」跡地

 

 

 

この出会いで志信が望夢をドライブに誘う。二人は五本松公園、手賀沼公園、手賀沼親水広場、志賀直哉邸跡の地元名所を巡りながら語り合う。

 

 

写真上:主人公の大学生と高校生が出会うシーンの台本を手に撮影を見守るスタッフ(左)=8月30日、川村学園女子大学

 

 

 

夕日を受けた手賀沼湖畔のベンチで語り合う場面で二人の心の奥がのぞく。天音から教員なることを勧められて大学入ったが、現実に何になりたいのか思い悩む志信、夢を追うことで勉強や人間関係から逃避していた望夢……。似た者同士とわかって心を通わせる。

 

 

写真上:メーンロケ地となった手賀沼湖畔での撮影(左)、夕方まで繰り返し続けられた=9月1日、Unitry提供

 

 

 

「夢から覚めた大人になった」「現実と向き合ってしまった」「それでも二度と夢を見られないわけではない」。志信は教員を目指し、望夢は大学に進学して新たな夢を探す決心をする。

 

 

今井監督は「人のつながりが夢を追う支えとなり、困難を乗り越える力を与えてくれると考えている。この映画で夢に挑戦する勇気、現実を乗り越える力が届くことを願っている」という。

 

 

写真上:映画製作を報告した星野順一郎・我孫子市長(右から3人目)の激励を受ける製作スタッフ=8月9日、我孫子市役所

 

 

 

「Unitry」の代表でプロデューサー橋本匠さん(東京大学4年)は「今井さんらと話しているうち、何気なく出た『映画を作って我孫子を盛り上げよう』という話が二つの大学や行政、地域住民の皆さんの協力で現実になった」と振り返る。

 

 

そして「我孫子で人々の地域交流が続くよう、住民だけでなく関りある大学生や大人が参加できるよう願う。それが子どもたちの学び、成長につながると信じている。我孫子のため、映画だけでなく、これからも活動したい」と強調した。

 

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)

様々画材の絵を楽しむ
「画楽人」たちの作品展

――野田市にある中世ヨーロッパ風建築の興風会館で、絵画愛好グループ「画楽人」(間中泰彦会長、会員8人)の「第14回画楽人展」が10月22日から開かれた。地下ギャラリーいっぱいに水彩、パステル、アクリル、油彩に加え、模写作品も並んだ。

 

 

写真左:中央に模写・板紙版画コーナーを配置した展示会場  写真右:「画楽人展」のはがき

 

 

 

市内の福田公民館であった水彩とパステルの講座に参加した市民が受講後、「これからも楽しく絵を描いていこう」と2009(平成21)年12月、「画楽人」と名づけてグループをつくった。

 

 

写真上:初日集合した長岡吾郎講師、勝山貞子特別講師、間中泰彦会長(前列左から)ら「画楽人」のメンバー

 

 

 

月2回、福田公民館に集まり、美術団体「光風会」会員の画家長岡吾郎さんを講師に指導を受けている。長岡さんは「作品展は見ての通り、一人ひととり描き方が違うでしょう。作者の個性を生かし、いいところが伸びるようにアドバイスしている」。

 

 

写真左:興風会館入り口にある墨書看板 写真右:サークル名の木版を手にする片桐之栄副会長

 

 

 

長岡さんのいう通り、会員は8人と少ないが、いろんな画材を使って意欲的に一人複数点を出品し、40点が集まった。間中会長は「夢中になれるのがいい。最初はパステルを始めたが、うまく描けなくて、水彩も始めた。これからは油絵もやってみたい」という。

 

 

写真左:長岡吾郎・講師「郊外の風景」(油彩)
写真右:中田誠・特別講師「白いバラ」(油彩)

 

 

 

写真左:勝山貞子・特別講師「永遠」(日本画)
写真右:間中泰彦「入居者募集中」(アクリル)

 

 

 

写真左:片桐之栄「躍動」(パステル)
写真右:中原三枝子「今夜はご馳走」(水彩)

 

 

 

写真左:稲葉静江「静寂」(パステル)
写真右:片岡まさ子「野辺の春」(水彩)

 

 

 

今年9月に亡くなった会員、内田与志男さんの遺作3点も展示された。初日の開場に先立ち、会員らが遺作に向かって黙祷を捧げた。間中会長は「油絵も描いたので飾りたい、といって張り切っていた。残念だ」

 

 

写真左:神山憲次郎「蜻蛉」(水彩)
写真右:故・内田与志男「忍野八海」(アクリル)

 

 

 

写真左:高橋清「仁王像」(水彩)
写真右:富田美代子「庭の花」(水彩)

 

 

 

作品はギャラリーの三方の壁に飾られたが、中央に設けられたテーブルでは歌川広重の「東海道五十三次」などの模写、板紙版画コーナーもあった。グループの特別講師で日本美術院院友の日本画家勝山貞子さんが指導者。勝山さんは「年に2回、7年間続けていますが、皆さん積み上げてきた腕前があがった。広重の青色は『広重ブルー』といって難しいのに、よくできたと思う。模写をすることで、絵もうまくなる効果がある」と解説した。

 

 

写真上:板紙版画・模写作品も展示された

 

 

 

写真上:勝山貞子・特別講師「風俗美人画」(模写)

 

 

 

写真上:高橋清「東海道五十三次」の模写

 

 

 

光風会館の正面玄関アーチに掲げられた大きな墨書の看板「画楽人展」、会場入り口に飾っていた「画楽人」の木版表札は片桐之栄副会長が作った。墨書は三角ほうきの使い古しを集めて筆にし、墨汁を付けて書いた。表札はタオルが入った木箱のふたを使ったという。

 

 

片桐副会長は「書道の心得はない。表札の木版はパソコンで印字した文字をトレースして使った。人と同じことをしても面白くないからね」。パステル、水彩など6点出品しているが、絵以外でも楽しんでいるようだ。

 

 

 

 

(文・写真 佐々木和彦)